ここで紹介しているのは、いわゆる「商品先物取引」のことです。
商品先物取引は、はっきり言ってリスクが大きい取引です。私も聞いたら目玉が飛び出るほどの損失を出しています。それでも後悔はしていません。それは、絶対営業マン(正式には商品取引員)の言うなりにならなかったからです。自分で決断して自分で出した損失ですから、あきらめがつきます。
このページでは、警告を込めて、それでも始めたいという方に、私の経験から得た取引のポイントを紹介したいと思います。もっとも、大損をしている奴の話なんて役に立たないとお思いでしょうが、反面教師として見れば役立つこともあるのではないでしょうか。

先物取引とは

先物取引とは何でしょう。以下の点に特徴があります。

実際に現物を動かさない

株式取引でしたら、実際に株券が名義書き換えという形で移動します。現物を見る機会が少ないのでわかりませんが、ほとんどの株券は証券保管振替機構(略して保振:ほふり)に保管されており、この中で名義書き換えも行われています。私たちが希望すれば、実際の株券を受け取ることもできます。
しかし、先物取引では現物は基本的に動きません。ただし、決済の期限が来て、反対売買で清算しないときは実際に現物とお金が交換されます。

「買って売る」もあるし「売って買う」もある

「安い時に買って高い時に売る」これはあたりまえです。しかし先物取引は「高い時に売って安い時に買い戻す」もありなのです。ここが解らない人が多いです。当然です。実際ないものをどうして売れるんですか。
FXと同じです。FXでも「高い時にドルを売って安い時に買い戻す」ということができました。下図は、先物取引でよく見かけるものですが、右側がそうです。買い戻すという条件で売る約束をするだけなのです。現物を渡すわけではありません。ですから現物がなくても売れるのです。(3)で説明するように、決済期限があって、期限が来たら現物を渡します。ただしその前に買い戻すことがあります、という約束なのです。

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売買の取引単位が大きい

たとえば金の場合、取引単位は1kgです。これを1枚と言い、取引量を枚数で数えます。2014年5月21日現在、金1gが4,200円位ですから、1枚の約定金額kが4,200,000円ということになります。当然これだけのお金を拠出するわけではなく、FXの時と同じように「委託証拠金」というものを預けて、売買は1gの値段で行います。しかし実際はこの1000倍の単位の取引をしているわけです。FXの場合はレバレッジがせいぜい25倍でしたが、先物取引は倍率がけた違いに大きいのです。

決済の期限がある

上の図を見てください。決済(買いならば売り、売りならば買戻し)期限が決まっています(「限月」という用語で表しています)。たとえば金ならば、2014年6月限、7月限、・・・、12月限と言います。金の2014年6月限は、6月25日までに反対売買して決済しないと、売っている人は現物を引き渡さないといけないし、買っている人は買った時の代金を払わなければいけません。ここで初めて品物とお金の交換が行われます。取引単位が大きいので、個人が現物を引き渡すなんて無理です。金(きん)ならばお金(かね)を出せば手配できますが、大豆(取引単位は10トン)なんて個人には手配できないですよね。ですから、期限がくるまでに買い戻さないといけないのです。株式のように利益が出るまでずっと待っているということができません。ここが先物取引の恐ろしいところです。

どこで売買できる

取引所は整理されて、現在次の2か所しかありません。
・東京商品取引所
・大阪堂島商品取引所

しかし、個人がここで直接取引できるわけでなくて、株式と同じように商品先物取引業者という正式に承認された業者を通して売買します。東京商品取引所のHPに 商品先物取引業者一覧 があります。
時々海外の商品取引所での売買の話を持ちかけられますが、海外の取引所は使えません。そのような営業マンはインチキです。

取引を始める前に、次の取引ガイドをよく読んで理解しておくとよいでしょう。

東京商品取引所 取引ガイド

注意すること

初心者には商品先物取引自体勧められませんが、私の経験から得た注意点を紹介しておきます。

初心者にはミニ取引を

私の時にはありませんでしたが、現在取引単位を小さくした「ミニ取引」というものがあります。例えば金の場合通常は1kgですが、ミニ取引の場合取引単位が100gとなります。少しリスクが低くなります。

早めの損切りを

FXと同じように早めに損切りする勇気が必要です。
商品先物取引の場合、損失額(含み損)が委託証拠金を上回ると「追加証拠金(略して追証:おいしょう)」を払わないと取引を続けることができません。(「追証がかかる」と言います) そのうち回復するだろうと何度も追証を払い続けていると、立ち上がれない状態になってしまいます。負けを認めてきっぱりと損切りする勇気が必要です。
ただし、損切りばかりしていると資金はどんどん底をついていきますから、そのようなときは休むことです。休んでじっと機会をみつけることです。

値幅制限があることを念頭におく

株でも同じですが、急騰するとき、暴落するときに値幅制限があります。このような状態になったときの値段が、ストップ高とかストップ安と言うわけです。たとえばストップ高になったときに、売り手が誰もいなければ買いたくても買えません。ストップ安はこの逆になります。
下のグラフをご覧ください。

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これは、東京商品取引所の原油の過去3年間の先物価格推移です。OPECが減産を見送ったことで、昨年末から価格が急落しています。このような時に下がり始めたところを「売り」から入れば短期間に大儲けができますが、タイミングを見つけるのは難しいです。このような機会は、何年、何十年に一回程度です。それをじっと待つのはなかなかできません。
やがて毎日ストップ安となり、買い手がいないから売ろうにも売れません。また「買い」から入っている人は、損切りになっても売りたくても売れません。毎日ストップ安で、大損することになります。

期近物に手を出さない

決済期限に近い限月を「期近(きぢか)」と言います。現在(2014年5月)の金ならば、2014年6月限です。決済期限の遠いものは「期先(きさき)」と言います 。
期近は決済期限が近い上に変動が激しいです。しかも「値幅制限」という、一日に変動する価格の制限がなくなりますので、一日で大きく上下することがあります。ストップ高、ストップ安ということで取引が制限されることがないわけです。素人は絶対に手を出すべきではありません。

国際商品は為替の動きにも注意

国際商品といわれるものは、以下のような取り扱われている商品のほとんどの銘柄です。(2014年12月現在)

金、白金、銀、パラジウム、アルミニウム
原油、ガソリン、灯油、軽油
一般大豆、とうもろこし、粗糖
ゴム

これらの商品は、ほとんど全てが輸入品ですから、当然為替が影響してきます。円安になれば上昇し、円高になれば下落します。単に商品の需給関係や経済動向だけで判断してはいけないということになります。

一方で次のような国内商品は為替の動向を受けませんが、取引が極めて少ないので、一般の人には向いていないでしょう。

小豆
コメ(大阪堂島商品取引所のみ)
以前は乾繭(まゆ)などがありましたが、今は取り扱われていないようです。

営業マンのいいなりにならない

取引業者の営業マン(商品取引員)は、業者に都合の良い銘柄を勧めたり、手数料を稼ごうと頻繁に売買させたり、逆に「ここは踏ん張りどころです」と追証を払わせて大損をさせたりということがあります。今ではないと思いますが、以前は得意客が買っている銘柄を素人に買わせて値段をつりあげさせて、上がったところで得意客に売り逃げさせるというようなこともあったようです。
インターネット取引なら営業マンと顔をあわせずにすみますので、この点では安心です。

決められた予算内で売買する

最初に予算を決めておいて、損失が大きくなって資金が底をついたらきっぱりとやめることです。また資金を貯めてとりかかればいいことですから。追証を払うために消費者金融にまで手を出したら人生おしまいです。取り戻せる保証は全くありませんから。あくまでも自己資金の範囲内で取引すべきです。

常時売買しようとしない

先物は値段が大きく変動しないと利益を出せないものです。変動が少ない時にこまめに売り買いをしていたら、手数料ばかり取られて結局損をします。
商品の値段はいきなり大きく動くことがあります。その時をじっと待っている辛抱強さが必要です。私も、もういいだろうと売り買いを始めて何度も失敗したことがあります。
相場師の格言にこのようなものがあります。「まだはまだなり、もうはもうなり」。商品先物取引で儲ける人には、この見極めのできる天性といったものがあるようです。私にはそれが欠けていたのかもしれません。