特許取得は資格取得ではありませんが、このコーナーで扱います。
よいアイデアがひらめいてこれを形にできた時、あるいは発明が趣味の方、これで特許を取得したいと思いますよね。

また、技術力のある中小企業で開発したアイデア商品は、とにかく特許を取得しておくことがよいとされています。現在進歩めまぐるしい3Dプリンターは、かなり前に日本で考えられましたが、その当時は実用化が難しいということでそのままにしていたところ、アメリカに特許を取得されてしまったということです。

さらに、特許を多く取得している企業は銀行からの評価も高くなるため、融資を受ける時には有利になります。

しかし、特許取得までには長い期間と費用がかかることを念頭におく必要があります。
2014年3月時点で、特許の出願から特許取得まで平均26か月かかっているようです。費用も最低18万円程度かかります(所得税非課税者等には減免制度があります)。さらに、毎年特許権を維持するための費用がかかります。このことを念頭において「よしやるぞ」と決断しなければなりません。
また、あなたが出願しようとしている発明がすでに特許登録されていたら無駄になりますから、「先行技術調査」をしておく方がよいでしょう。それは、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で検索できます。

出願は電子出願もあります。しかしほとんどの場合、拒絶されて拒絶理由通知があなたのところに届くでしょう。そしたら、拒絶に対する意見書・補正書を提出しないと手続きは継続しません。こういうことを減らすためには、弁理士に相談するとよいでしょう。もちろん費用はかかります。特許事務所は費用が高いし、個人は相手にしてくれない所がほとんどのようです。
日本弁理士会の各支部(例えば日本弁理士会関東支部)あるいは都道府県の発明協会には、無料相談会もあります。

特許よりも審査期間が短くてすむものに「実用新案」があります。費用も安くなります。

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「特許」を満たす条件

特許の対象は「発明」です。
「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なもの、とされています。
「技術的思想」であるため、個人の特殊な能力あるいは熟練による技能は含まれません。
「創作」であるためには新規性が必要になります。

「特許」を満たす要件について考えてみます。重要な要件として次のものがあります。
① 産業上の利用性
発明が単に学術的実験的なものでなく、産業として利用できることを言います。
② 新規性
発明したものが社会に公開されていないことを言います。
③ 進歩性
従来の技術から容易に考えられる程度を超えない発明は特許ではない、ということです。たとえば、単なる設計変更や寄せ集めは特許ではありません。

 出願から特許取得までの流れ

出願から特許取得までの流れを簡単に見てみましょう。

① 出願

3種類の方法があります。
・電子出願(特許庁のHPに詳細説明あり)
・書留郵送
・特許庁窓口提出
出願書類は決められていますので、実際の出願の時に特許庁のHPで確認しましょう。
提出された書類により特許庁で「方式審査」が行われ、所定の要件が満たされていない場合は補正命令がなされます。

② 出願審査請求

出願しただけでは審査は開始されません。出願審査請求書を別途提出して初めて審査が開始されます。この時、118,000円+(請求項の数×4,000円)の費用が発生します。(2014年5月時点)

③ 実体審査

審査官が、特許請求の範囲に記載されている発明が特許要件を満たしているか審査します。
具体的には、先行技術調査をして発明の新規性、進歩性を判断します。これを満たさないと、審査官は出願者に拒絶理由を通知します。
出願者はこの拒絶理由に対して、納得がいかない場合は意見書を提出したり、補正を行って再提出します。
審査官は、この意見書等を審理して次の特許査定に進むか判定します。

 ④ 特許査定

 拒絶理由が解消された場合、審査官は特許査定をします。
③の段階で拒絶理由通知がされない場合は、この段階に移ります。

⑤ 特許料納付・特許権の発生

特許査定が終了すると出願者に通知されます。
出願者が特許料を納付すると、特許原簿に登録され、特許権が発生して、特許証書が出願者に送られます。ここで初めて特許第何号という番号がつくことになります。
特許料は3年分支払います。(1年あたり15,000円 2014年5月時点)
この後、4年目から1年毎に特許料を納付することによって特許権が維持されます。

⑥ 特許公報発行

特許権は善意の第三者に対しても独占排他性を有するので、一般に内容を知らせるために特許公報が発行され、誰でも閲覧可能になります。
特許公報を閲覧して、これに意義のある第三者は、6か月以内に特許異議申し立てをしなければならないことになっています。

TIPS自撮り棒は30年前に特許取得されていた
いま流行りの「自撮り棒」、若者によく売れています。アジアからの観光客にも人気があります。この自撮り棒、実は30年前に日本人によって特許取得されていたそうです。ところが、その当時は恥ずかしくて人前で使えないということで売れなかったそうです。そして特許が切れた今、爆発的に売れるようになった。皮肉なことですね。

特許以外の知的財産権

特許に似ている他の知的財産権として、「実用新案」と「意匠」について簡単に紹介します。

実用新案

実用新案は、物品の形状、構造、組合せにかかる考案である、とされています。
発明が技術的に高度なアイデアであるのに対して、これよりも技術的に簡易なアイデアとなります。
出願書類は特許とほぼ同じですが、図面が必須となっています。それは実用新案が「物品の形状、構造、組合せにかかる考案」であるためです。

特許と大きく違うのは、実用新案は実体審査を行わない点です。このため、実用新案権を取得するまでの期間が短くなります。出願して一定の要件を満たしていれば登録されて、実用新案権が発生します。実用新案公報も公開されます。
実体審査がないため、出願者は事前に先行技術調査を十分に行っておく必要があります。もし先行する登録があった場合、後で無効審判請求されることがあります。
費用は、登録料3年分(1年14,000円 2014年5月時点)と、実用新案技術評価料として42,000円+(請求項の数×1,000円)となります。

意匠

意匠は、物品の形状、模様もしくは色彩またはこれらの結合であって視覚を通じて美観を起こさせるもの、とされています。私の知合いで特許庁を定年退職して弁理士事務所を開いている方から聞きましたが、エスカレータのステップの境界入っている黄色い線は意匠登録されているということです。あの線があることによって、平らな部分からステップが上下した時、踏み外さずにすみますね。

意匠も物品の美的外観を問題にするので、出願書類に図面が必須となります。
こちらは実体審査がありますので、意匠権取得まで時間がかかります。
費用は、登録料1年分16,000円となります。(2014年5月時点)

 保護される期間

特許権等を取得してもいつまでも権利があるわけではなくて、保護される期間が決められています。それは、すでにある特許を改良してさらによいものを作ろうとするとき、古い特許権に阻まれてできなくなり、かえって技術進歩をさまたげることになるからです。存続期間は以下のようになっています。

特許権

出願後20年
ただし、医薬品、農薬に関してはある条件のもとにさらに5年間延長可能

実用新案権

平成6年1月1日~平成17年3月31日の出願 出願日から6年
平成17年4月1日以降の出願 出願日から10年

意匠権

平成19年3月31日以前の出願 出願日から15年
平成19年4月1日以降の出願 出願日から20年