治験ボランティアに参加してみよう

治験ボランティアをご存知でしょうか。新薬や新しい医療器具が国から承認を得るためには、最終的に人間による臨床試験を受けなければいけません。治験ボランティアは、その臨床試験に参加して、新薬や医療器具の安全性の確認に貢献する有償ボランティアのことです。薬や医療器具の安全性はすでに十分に確認されていますし、臨床試験の間医師がついていますので、安全は確保されています。臨床試験の前に十分な事前説明があって、不安があればやめることもできます。臨床試験の内容について十分納得した上での参加となります。

治験者には血液検査や尿検査など、事前に精密検査が行われます。試験中も健康検査が行われます。治験ボランティアは、自身の健康チェックもしながら医療の発展に貢献できる制度です。(秋山)

コンテンツ

治験ボランティアとは

治験とは

治験ボランティアの役割

治験ボランティアの安全性は大丈夫なの?

治験ボランティアで自身の健康チェックもできる

どこで治験ボランティアに参加できるの?

現在募集中の様々な治験ボランティアを紹介しているサイト

日常的な症状や健康に関する治験ボランティア

シスモール

パシフィックグローブ

Qlife

性感染症予防ワクチンモニター

日本製コロナワクチン治験ボランティア


治験ボランティアは有償ボランティアで自身の健康チェックもできる

治験ボランティアの特徴の一つは有償であることです。治験の内容によっては高額になるものもあります。そして、特徴の二つ目は、治験に伴う多くの精密検査が行われることによって、自身の健康チェックに役立つということです。

治験ボランティアとは

テレビなどで治験ボランティアという言葉を聞いたことがあると思います。病院や緊急援助地などの医療現場で、医療に関連した支援活動を行う医療ボランティアとは違います。その前に「治験」とは何かを調べてみましょう。

治験とは

新薬や新しい医療器具が国から承認を得るためには、最終的に人間による臨床試験を受けなければいけません。新しい薬・医療器具の効果や副作用は、その前に何年もかけて動物実験等で確認していますので、安全性は確認されています。しかし、実際使用する私たち人間にも使用してみなければいけません。「治験」とは、その最終段階の試験で、厚生労働省の指導のもとに実施している医療機関による臨床試験のことです。

治験は新しく開発された薬や医療器具の有効性の確認や安全性を評価するために繰り返し行われます。動物実験で有効性・安全性が認められた薬品を、健康な人に初めて用いる第Ⅰ相から、少人数の患者を対象に使用量や使用法、効果を調べる第Ⅱ相、そして多数の症例を集めるためさらに多数の患者に対して行われる第Ⅲ相の3段階で行われます。各段階のデータ結果をまとめて厚生労働省に提出し、承認を得て薬や医療器具として使用されるようになります。

さらに、安全性・効果・副作用など、被験者の了承を得た上で、「新しい薬を飲んでいる」という先入観からくるプラセボ効果を避けるため、被験者には自分が飲んでいる薬が当該新薬であるかを隠して行われる単盲検試験と、医師の偏見を取り除くための両盲検試験とがあります。

治験ボランティアの役割

治験ボランティアは、上記の治験第Ⅰ相の試験に自由意思で参加する健常者のことをいいます。実際に薬の対象となる病気の患者に投与して効果を検証するのは、治験第Ⅱ相と第Ⅲ相で行われますので、治験ボランティアは第Ⅰ相の健康な人を対象とした治験となります。

ボランティアとはいえ、実際には人体実験に自分の体を提供するわけですから、それなりの謝礼はあります。期間や通院・入院などさまざまな治験形態がありますが、一般的には1泊2日で15,000円~20,000円と、なかなかの高額になるようです。謝礼の多さに釣られて安易に受けてしまわないよう、治験前のインフォームドコンセントに参加して本当に納得してから臨むようにしましょう。

治験前の「インフォームドコンセント」とは、被治験者が、治験を行う側から実験の目的・内容・メリット・デメリット・最悪の事態に関する情報を提示されることです。被治験者は途中で治験をやめたいと思ったら、意思表示をしてすぐにでも離脱できます。このようなことも治験者側から説明されます。

厚生労働省も治験制度の推進をしており、治験参加者(つまり治験ボランティア)の必要性を認めています。

全国治験活性化3カ年計画

治験ボランティアの安全性は大丈夫なの?

まず試験の対象となる新薬や医療器具の安全性は、動物実験等で何年もかけて理論的に確認されているものですから、安全といえます。それでも人間に適用するのは最初ですから、100%安全とは言い切れないのも事実です。

そのため、治験参加中に副作用など予想できないことが生じた場合、治験を中止し医療スタッフにより適切な処置が行われます。医療スタッフが常にそばにいるので安心です。後日身体に影響が出た場合も同様に処置が施されます。もし重大な影響が生じた場合、製薬会社から保証が出ます。万が一入院が必要になった場合も医療手当や休業補償金が支給されます。

治験の安全性については慎重に配慮されています。副作用についても、ほとんどの場合予想がされていて、インフォームドコンセントで事前に説明があるので、十分に理解した上で参加しましょう。

治験が始まったあとでも、治験は義務ではなく自由意志によるものなので、いつでも辞めることができます。ただし、特殊な治験で途中で中止できない場合もあるので、事前説明の時に確認しておきましょう。

治験ボランティアで自身の健康チェックもできる

治験者には血液検査や尿検査など、事前に精密検査が行われます。新薬や医療機器の安全性を確認するものですから、人間ドック並みの厳密な検査が必要になります。従って、この機会に健康診断ができます。この検査で、今まで気づかなかった病気が発見されることもあります。ただし、対象の新薬や医療機器の安全性を確認するための検査ですから、すべての検査項目について検査が行われるわけではないことを念頭においておきましょう。

どこで治験ボランティアに参加できるの?

これまでの治験ボランティアの説明で、治験ボランティアに興味を持ち参加してみようかなと思われた方への情報です。

厚生労働省関係のサイトを検索しますと、次のページで治験ボランティアを探すことができます。しかし、わかりにくくて慣れないと不安と思います。

臨床研究情報ポータルサイト

臨床研究中核病院について|厚生労働省

現在募集中の治験ボランティアを紹介しているサイト

現在募集している治験ボランティアのいくつかを紹介しましょう。

日常的な症状や健康に関する治験ボランティア

シスモール

こちらのサイト会員登録しておくと、ご自身の健康状態や飲んでいる薬などから、現在募集している治験ボランティアの中から適したものを紹介してもらえます。

治験ボランティア【シスモール】

紹介している案件はどれも安全を絶対条件に考えた、最善の注意の払われているものです。

全て専門医師がかかりつけ、定期健診も無料で実施しているので、ご自分の健康状態がいつでもわかります。また、いち早く最新・最先端治療を受けることができるので、悩みの解決につながるかもしれません。

まずは無料会員登録してみてはいかがでしょう。会員登録して事前検診に参加しても、治験ボランティア参加の強制はありません。

血糖値の気になる方への治験モニターや、花粉症でお悩みのの方への治験モニターもあります。

上の治験モニターの無料会員登録しても参加強制はありません。

無料会員登録すると、この他にも様々な治験モニターの案内が届きます。たとえば、

物忘れが気になる方対象サプリメントモニター

などです。

パシフィックグローブ

こちらでは、糖尿・高血圧などの生活習慣病の治験ボランティアを実施しています。

パシフィックグローブ

主に40~60代で、生活習慣病、糖尿・高血圧などでお悩みの方が登録しています。

糖尿病の治療費は、食事や運動療法のみですとひと月2千~5千円ほどですが、症状が悪化してインスリン治療を始めると月1万~1万5千円もかかってしまいます。

糖尿病にかかりやすくなる高カロリー食や運動不足といった生活習慣は、高血圧や脂質異常症などの病気を引き起こし、それぞれ治療費がかかってしまいます。もしこの病気がすべて同時に起こってしまった場合、月額の治療費は約5万円となります。年間で約60万円もかかることになります。

治験はこれらの費用の負担を軽減し、さらに最新の医療を受けることができます。

Qlife

こちらも、様々な治験モニターを紹介しています。生活者、医療従事者、製薬・医療機器メーカーの三方向にサービスを提供します。これらの基盤を活用し、医療業界の様々な課題を解決する「メディカルマーケテイング」を実践しています。

治験情報サイト Qlife

治験モニター登録者数は58万名以上で、治験をはじめとして、健康食品、化粧品のモニターなど多数の案件を取り扱っています。

無料会員登録すると、会員には条件に合わせて適切な案件の案内が届き、治験募集に興味、関心のあったものを選ぶことができます。20歳以上であれば誰でも無料登録できます。

治験に参加すると、負担軽減費が支給されるほか、医師による健康診断を無料で受けられるだけでなく、次世代への社会貢献になります。

性感染症予防ワクチンモニター

性交渉で感染するHPV。女性の子宮頸がんの95%以上はHPVウイルスの感染が原因である事がわかっています。

外国では予防ワクチンの接種が進んでいる国もありますが、日本では接種が進んでおらず、近年では20代〜30代の若い女性の発症が増加傾向にあります。現在、国内では年間約1万人が罹患し、毎年3,000人もの方々が命を落としています。

男性がHPVワクチンを接種するメリットは、性交時のパートナーからのHPV感染を防ぎ、女性の子宮頸がんにかかるリスクを減らすことにあります。

男性自身も中咽頭がん、陰茎がん、肛門がんなどの性交に関わる部位でのがん化に関連しているとされています。

まだ日本では承認されていませんが、男性も自費でHPVワクチンを接種することは可能です。
しかし、自費での接種は数万円以上の高額な費用がかかるため、あまり一般的ではありません。そのような中でも、著名人の中には自費で接種する方も増えています。

パートナーのために治験参加【ぺいるーと】

この治験に参加すると、男性は無料でワクチンを接種でき、参加される方の負担を軽減する目的で、負担軽減費という謝礼も通院毎に受け取ることができます。、専門医の元で最新の治療を試す機会となり、医薬品や医療の発展に貢献できる社会貢献性の高い有償ボランティアでもあるのです。

対象は、16歳から26歳の男性です。

会員登録をする必要がありますが、登録することにより参加を強要されることはありません。
また、個人情報(JAPHIC)マークを取得しているため、安心して登録・参加できます。

日本製コロナワクチン治験ボランティア

下記厚労省のページにもありますように、塩野義製薬、第一三共、アンジェスなどの大手製薬会社で国産コロナワクチンの開発が進められています。

新型コロナワクチンの開発状況について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

しかし、日本でコロナワクチン開発が遅れている原因の一つが治験ボランティア不足です。 日本国民が待ち望んでいる国産ワクチン・治療薬の開発に協力できます。

コロナワクチンの治験ボランティア募集中!【生活向上WEB】

特に次のような方を募集しています。

  • 新型コロナウイルスに感染したことのない健康な成人の方
  • 新型コロナウイルス感染時に重症化しやすい基礎疾患をお持ちの方
  • 過去に新型コロナウイルス陽性となり、回復された方

紹介する治験は、国際的なルールに則り安全に行われます。

治験にご参加いただく前に、医療機関からメリット、デメリットを丁寧にご説明します。 有効成分が入っていない薬剤(プラセボ)を接種する場合もあります。(本人には知らされません)説明時に確認してください。

ただし、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が10月22日、新型コロナウイルスワクチンの臨床試験(治験)にたいしては、接種後に体内でできる抗体の量を既存のワクチンと比べる方式を認め、より少ない参加人数で実施できるように簡素化していますので、プラセボは使用されないと予想されます。

説明を受けた後にやめることももちろん可能です。

治験ボランティアに参加することのメリットは次のようになるでしょう。

  • 大手製薬会社の国産ワクチンをいち早く接種できる(最短で2週間後~)
  • 負担軽減費という形で金銭が払われる(数万円程度の予定)

厚労省では、コロナワクチン実用化を促進するため、治験の条件を緩和しました。

以下、日本経済新聞社の記事を引用します。

コロナワクチン治験、規模数千人に縮小 国際大枠合意

ワクチン開発の加速をめざす(主要な新型コロナワクチン)=ロイター

厚生労働省は新型コロナウイルスワクチンの有効性などを調べる臨床試験(治験)の条件を緩和する。従来方式では数万人を対象にした偽薬との比較試験が必要だが、代替として数千人を対象にした方式での治験を認める。海外製の接種が進む中で参加者を集めやすくして国産ワクチンの開発を後押しする狙いだ。

厚労省や医薬品医療機器総合機構(PMDA)など世界各国・地域の薬事規制当局が集まる国際組織(ICMRA)が新方式で大枠合意した。これを受けて厚労省は15日、企業向けにオンラインで説明した。

薬の承認審査には、有効性や安全性を調べる治験のデータが必要だ。新型コロナのワクチンの場合、数万人の参加者を集めて開発中のワクチンを接種するグループと偽薬を接種するグループに分け、発症を予防する効果や副作用の頻度などを調べる。

参加者の規模を縮小できると判断したのは、発症を予防する効果ではなく接種後に体内でつくられる「中和抗体」に着目する方式に変えたためだ。ウイルスを攻撃する中和抗体の量を目安にワクチンの効果を判定する。実用化済みのワクチンと比べて、同程度以上の中和抗体ができているかを調べる。偽薬を用いる試験がいらず、接種が進む国内でも参加者を集めやすくなるとみられる。

国内では複数の製薬会社が新型コロナのワクチン開発に取り組むが、すでに米ファイザー製と米モデルナ製の接種が進んでいるため、治験の参加者を集めるのが難しい状況だった。

===以上 日本経済新聞社の記事ーーー

さらに、次の投稿も参考になると思います。

「国産ワクチン」が、急ピッチで開発されている「舞台裏」|Pen Online (pen-online.jp)

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