時代に逆行する日本の石炭火力発電所建設

来週の11月30日から12月11日、パリで気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)が開催されます。日本は2030年までに、2013年比26%CO2削減の目標を掲げていますが、この目標達成は極めて難しいと言わざるをえません。

イギリスは、2025年までに石炭火力発電を完全撤廃するといいます。そして代わりに「21世紀にふさわしい新たなエネルギー・インフラをつくる」といいます。具体的な方策は明確になっていないが、すでにある計画では、現存の原子力発電所は段階的に撤廃し、より安全な核エネルギー発電所を建設するとともに、再生可能エネルギーの増進に力を注ぐようだ。賢い決断だと思う。

今まで国全体のエネルギーの39%を占め、大量のCO2を発生してきたアメリカの石炭火力発電所も、これからは減らす方針だ。その代替として、CO2発生量の少ないシェールガスによる火力発電所、再生可能エネルギーを推進していくという。

これに対して日本はどうだろうか。放射能に対する無知と偏見に囚われた原発反対派の勢力が強くて、安くて安全な原子力発電を増やしていくことはできない。再生可能エネルギーも現在の電力需要を補うにははるかに及ばない。残された手段は、火力発電所の再稼働しかない。

日本の場合、これに拍車をかけようとしているのが、電力小売りの全面自由化です。企業はコストの安い石炭火力を選択するのは必然です。このような石炭火力発電所の建設計画が40基もあるといいます。あろうことか、これをさらに海外の発展途上国に売り込もうとしています。日本のCO2削減技術は発達していて従来より3割削減できるというが、天然ガスのCO2排出が石炭の半分なのに比べても劣るし、原子力がCO2を全く排出しないのに比べたら、地球温暖化が深刻になっているこの時期に、CO2排出をさらに加速することに貢献するだけです。世界の環境保護団体は、日本のこのような方針を非難しています。非難されるのは当然です。

日本は、石炭火力発電所は段階的に廃止、新規建設は禁止して、イギリスのように安全な原子力発電所を新たに建設すべきです。そのための技術者を増やしていくべきです。今原子力工学関係に進む学生が減っていると聞きます。4年前の福島原発事故以来、原子力工学の学生が委縮してしまっています。無知と偏見に囚われて冷静な判断のできない原発反対派の圧力にひるむことなく、安全に放射性廃棄物を処理できる技術、安全な原子力発電所を建設できる技術者をもっと育成すべき時と思います。

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