地球環境保護のため原発を推進すべき

反原発、原発再稼働反対派の人たちは、直感的にあるいは感情的に原子力発電を否定することがほとんどです。そこには、原子力や放射能に対する固定観念と大きな誤解があるからと思います。

私は原発再稼働推進派です。それだけでなく、さらに最新鋭の安全な原子力発電所を建設すべきと考えています。その理由は、化石燃料を使用した火力発電所から放出される大量の温暖化ガスによる地球環境への悪影響を食い止めるためには、現段階では原発に頼らざるを得ないからです。

東日本大震災時の津波による福島第一原発事故の影響で、日本ではすべての原発が停止しており、そのために京都議定書で日本が世界に約束した地球温暖化ガスの削減目標を反古にして、火力発電所の再稼働をしています。石原慎太郎氏などは、「現在でも経済は十分に回っているから原発などいらない」と言っていますが、この人たちは、その裏には火力発電所の再稼働そして温顔化ガスの大量放出があることを知らないのです。

20150326book福島第一原発の放射能汚染の影響で長期避難、あるいは帰宅困難を余儀なくされている人たちの苦痛は極まりないものと思いますが、それは放射能のためではなく、国際放射線防護委員会(ICRP)の基準が低すぎることと、緊急時にもかかわらずこれを鵜呑みに取り入れてこれを事務的に運用している日本政府の不適切な対応に起因するものです。このために、本来なら安全な放射能にも関わらず強制退去させられているのです。政府は強制退去の影響をもっと考えるべきです。私たちは放射能にたいしてもっと冷静になるべきです。この著書を読めば、少量の放射能は決して怖くはないことがわかります。放射能を頭から否定してる人は、この本を読んで、放射能についてもっと理解を深めるべきです。

原発を廃止して、水力発電、風力発電、太陽光発電、地熱発電などの再生可能エネルギーに切り替えるべきだという考えもあります。しかし、再生可能エネルギーで全てのエネルギーをまかなうには気の遠くなるような時間がかかります。永遠に無理かもしれません。化石燃料による地球環境汚染を食い止めるためには、再生可能エネルギーで大部分のエネルギーをまかなえるようになるまでの間、原子力発電に頼らざるをえません。

多くの日本人が原子力発電に拒否反応を示すのは、広島・長崎の原子爆弾投下の体験が大きく関わっていると思います。しかし、原子爆弾と原子力発電は製造方法も目的も全く異なっていますす。ですからどのようなことが起ころうとも、原発が原子爆弾ののような爆発を起こすことはありえません。これはちょうど、火薬爆弾と火力発電が全く異なるのと同じです。原子力発電の延長線上に原子爆弾があるのではありません。この二つははっきり区別すべきです。

東日本大震災のとき、稼働中の近くの4か所の原子力発電所は設計通り緊急停止しています。福島第一原発より震源地に近い女川原発でも、原子炉自体に何の影響もありません。時々小規模な事故は起こすものの、日本の原子力発電所は安全です。福島第一原発事故の最大の要因は想定外の津波による制御機能の崩壊です。今後はこれを教訓に津波対策を強化すべきで、地球の気候大変動のリスクを無視して原発を即時停止しろという論理にはつながらないのです。感情的にならずもっと冷静に地球全体のことを考えるべきです。福島第一原発の事故を教訓に、原子力規制委員会は世界で最も厳しい新規制基準を作成しています。

反原発、原発再稼働反対派の人たちの誤解は、少量の放射能でも放射能は危険だという先入観にあります。自然界には少量の放射能は常に存在します。レントゲン撮影も放射能ですし、癌などの治療ではかなり多量の放射能に被ばくします。それでも身体の回復を優先して放射能のリスクを受け入れているではありませんか。それなのに何故、極めて低い原発による放射能のリスクを避けて、確実に見舞われることがわかっている地球温暖化による異常気象のリスクを受け入れようとしているのでしょうか。

誤解の根本には、放射能の強度と人間の体への影響に対する理解にあるようです。

このグラフは放射線の強さと生物に対するダメージの関係を表したもので、「放射線のストレスー損傷曲線」とこの著書では呼んでいます。

20150326graph

生物の細胞は外部から損傷を受けた時速やかに回復する機能を備えています。DNA鎖が損傷を受けてもそのコピーから再生されます。そのため少量の放射線では生物の細胞の破壊は起こりません。しかし放射線がある一定以上の強さになったとき、細胞の回復機能が追いつかなくなり障害が現れます。障害が現れ始める点が「閾値(しきいち、threshold)」でグラフでは T になります。

これは、放射線を受けたマウスの死亡率を表したものですので、細胞へのなんらかのダメージが現れる閾値はこれより低い値となりますが、それにしても現在の日本の基準よりはるかに高い値となります。この著書ではこの値が200ミリシーベルト/月としています。余裕をもって、100ミリシーベルト/月(単純計算で1200ミリシーベルト/年)まで安全としています。国際放射線防護委員会(ICRP)が提唱し日本の原子力安全委員会が採用している平常時1ミリシーベルト/年よりはるかに高い値まで安全なのです。

放射線が恐ろしいと考えている人の誤解は、放射線の人への影響が上のグラフの点線のようになると思い込んでいることにあります。点線では、放射能はゼロでなければならないという結論になります。ICRPもその委員会の性格から「できるだけゼロに近いことが望ましい」として、点線のようなモデルを考えているように思われます。しかし点線ではどこまでが安全かという判断はつきません。結局限りなくゼロに近い 1ミリシーベルトになったのでしょう。

東京都健康安全研究センターでは、日本人が1年間に受ける放射線量を公表しています。

自然放射線として
大地から  0.33ミリシーベルト
空気中から 0.48ミリシーベルト
宇宙線から 0.30ミリシーベルト
飲食物から 0.99ミリシーベルト
人口放射線として
医療から  3.87ミリシーベルト

というように、自然界からすでに1ミリシーベルトを超える放射線を受けています。ICRPの勧告はまったく意味がありません。

廃棄物の問題でも、原子力発電が火力発電よりはるかに優れていることがわかります。上の著書によりますと、同量のエネルギーを生産するのに、火力発電は原子力発電の500万倍の量を消費します。火力発電の廃棄物はCO2やNOXなどの温室効果ガスだけでなく、ヒ素などの有毒な重金属が大気中に排出されますが、核廃棄物はすべて回収されて保管されます。

核廃棄物の最大の問題はその処分方法です。一番の解決策は使用済み核燃料を濃縮して再利用することですが、日本では反原発派の圧力で断念してしまいました。核燃料の再処理は最終処分する核廃棄物の量を減らす最も良い方法なのですが・・・。これから廃棄物最終処分の研究は進めていかなければなりません。私は画期的な解決策は見つかると思います。科学者を信じるべきです。

最後にもう一度強調しておきます。万が一でもリスクがあるとして原発の再稼働を停止し、確実に迫っている温暖化ガスによる地球環境破壊を受け入れようという考え方は間違っています。人類にとって不幸な結果を招くことでしょう。

そしてもう一つは福島第一原発事故によって非難を余儀なくされている気の毒な人たちのために、線量基準を見直すべきです。現在の基準が実は意味のない基準かもしれません。そのために避難者には不幸を余儀なくさせているかもしれません。上の著書によると明らかに基準が厳しすぎます。2011年当時ICRP委員長をしていたラース・エリク・ホルム氏ですら、チェルノブイリ原発事故時にスウェーデン放射線防護局で出した厳しい基準を振り返って「もしかすると、我々は個々の消費者への必要以上の責任を負ってしまたのかもしれない」と述懐しているのです。

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